「水銀に関する水俣条約」の発効に伴い,水銀排出施設から大気への水銀排出抑制が今まで以上に求められている。ガス状水銀に対する活性炭の吸着効果を検討するために,バグフィルタの集じんろ過を模しつつ,活性炭吸着層前後の水銀濃度を連続的に測定する実験室レベルの「ガス状水銀と共存ガスの吸着・反応実験装置」を作製した。その装置を用いて各種水銀除去用添着活性炭(粒状)を評価した結果,塩化物を添着した活性炭は水銀除去効果とともに,バグフィルタ稼働温度においても安定して効果的であった。また,排ガス中の共存ガス(3種)存在下におけるガス状水銀の吸着では,塩化水素が他の成分(二酸化硫黄,水蒸気)に比べて顕著な影響を与えた。都市ごみ焼却施設で吹込使用される粉末活性炭において,6種の添着炭を調製・評価した結果,塩化水素添着活性炭が他の使用実績のある活性炭と比較して,最も効果的であることをみいだした。