日本数学教育学会誌
Online ISSN : 2434-8619
Print ISSN : 0021-471X
実践研究
統計的探究プロセスの授業化
第6学年「読書チャンピオンクラスを決めよう」を題材に
工藤 尋大
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 104 巻 12 号 p. 13-23

詳細
抄録

 本研究の目的は,統計的探究プロセスを授業化する際の課題を示し,それを踏まえた第6学年「Dデータの活用」領域の単元指導計画を提案するとともに,実際に収集したデータを用いた場合の,児童の問題解決における様相を明らかにすることである.授業化に当たっては,当該学年の指導内容を踏まえて「読書チャンピオンクラスを決めよう」という問題を設定し,委員会活動と連携することで,児童の必要感に迫りながら従来の配当授業時数を大幅に超えることなく統計的な問題解決を実現できるよう計画した.また,単元構想図を作成し,児童の思考に応じて柔軟性のある単元指導を行えるようにした.

 このように構成した授業を,発話記録と児童のノート記述を基に分析した結果,自分たちが導こうとしている結論を批判的に考察し,統計的探究プロセスを行き来しながら問題解決を図る児童の姿が見られた.また,課題は残るものの,図書委員会との連携や単元構想図の作成により,授業時数の大幅な増加や指導内容の漏れがなく,学習指導要領解説に示された内容を具現化することができたと考える.

著者関連情報
© 2022 公益社団法人 日本数学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top