日本数学教育学会誌
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論説
算数・数学科における「説明・証明」の能力に関する研究
2つの問題に対する小学校高学年児童の記述の特徴や傾向の比較
近藤 裕
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2022 年 104 巻 12 号 p. 2-12

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抄録

 本研究の目的は,「面積の問題」(近藤, 2022)と同時に実施された「角度の問題」における「説明・証明」の記述の特徴や傾向を把握すること,及び子ども個人の両問題に対する記述の一貫性に関する傾向を把握すること,その上で,小学校高学年の学習指導改善への示唆を得ることである.まず,近藤(2022)と同様の枠組みを用いて「角度の問題」の解答を分析し,次に,子ども個人の両問題に対する記述の特徴を比較した.その結果,自身の主張の妥当性を図形の性質に結びつけて示す割合は,「面積の問題」でみられた傾向と同様に,小6 から中2 へと増加する一方で,小5 から小6 へはその増加幅が小さいという結果を得た.また,両問題ともに「選択式・短答式」の解答部分を正しく判断した子どものうち,一貫してその妥当性を図形の性質に結びつけて示す小5,小6 の割合は20%台であること等が明らかとなった.これらの結果に基づき,「角度の問題」が,小学校高学年の「説明」の能力の育成に適した教材になり得ること等の示唆を得た.

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© 2022 公益社団法人 日本数学教育学会
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