抄録
本稿は,「主張の妥当性を数や図形の性質に結びつけて述べること」が,証明に接続する「説明」の重要な一側面であると考える立場から,小学校第5 学年から中学校第2 学年の子どもの実態について調査し,推論過程で働かせる論理が計算の中に潜在的になる可能性(國宗, 2017)の視点から分析,考察した.その結果,図形の角の大きさに関する同様な問題場面でも,具体的な角度を計算して求めて「説明」する問題の方が,計算を要しない「説明」の問題よりも,「数や図形の性質との結びつき」を述べる割合が低いこと,また,解決過程に計算を含むか否かに関わらずに,それを述べる割合は,中2以前では3 割台であること等の実態を明らかにした.その上で,我が国の小5から中1の教科書では,例えば図形の単元において,図形の面積等を「計量」する活動を通して演繹的推論を働かせる内容を豊富に扱うが,それらが必ずしも,「主張の妥当性を数や図形の性質に結びつけて述べること」の機会になっていない可能性がある等の示唆を得た.