学術の動向
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第二部:被災地大学の取り組みから浮かび上がってきた論点の開示
原子力災害の有無による復興過程の違い
岩渕 明
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2023 年 28 巻 3 号 p. 3_48-3_51

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抄録

 東日本大震災から12年ほどたつ。復興過程をみるとき、原発事故の影響は福島県などと、被災地なり被災者を十把一絡げに県域でとらえがちであるが、課題は県域で収まる場合と、県域を越えて考慮すべきものもある。本稿では、国や県、あるいは非被災者の姿をマクロとし、一方で、限定的な被災地・被災者をミクロとしてとらえて原子力災害の有無による違いを検討する。国や県の復興のゴールの明示がないので復興事業をいつまで継続するのか危惧している。

 マクロ的には復興庁を中心に復興事業に取り組んできて、原子力関係を除けばハード面はほぼ完了し、国、岩手県、宮城県はほぼ平常に戻ったとして区切りをつける時期である。しかし、ミクロ的に見れば、原発災害を受けた地域や、強制避難させられた被災者以外にも帰還をためらう被災者や心の問題を抱える被災者が存在し、原発災害の有無にかかわらず彼らへの支援は共通的であり、継続しなければいけない。

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