日本スポーツ栄養研究誌
Online ISSN : 2759-6141
Print ISSN : 2188-8922
総説
運動当日の栄養摂取が持久性パフォーマンスに及ぼす影響─摂取エネルギーに占める脂質エネルギー比の高い食事と糖質エネルギー比の高い食事を比較した研究のシステマティック・レビュー
山口 太一東郷 将成保科 圭汰佐藤 未来八田 早那子佐々木 将太瀧澤 一騎
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2020 年 13 巻 1 号 p. 16-24

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抄録

【目的】

 持久的な運動を行う当日の栄養摂取法として運動1〜4時間前に糖質を体重1 kgあたり1 g〜4 g摂取する方法が推奨されている。しかしながら、当方法が推奨される根拠となった研究では摂取エネルギーに占める脂質エネルギー比の高い食事と糖質エネルギー比の高い食事の摂取が持久性パフォーマンスに及ぼす影響を比較検討した結果が考慮されていなかったように思える。本総説では運動当日の脂質エネルギー比の高い食事と糖質エネルギー比の高い食事の摂取が持久性パフォーマンスに及ぼす影響を比較検討した研究を総論することを目的とした。

【方法】

 採用基準を①対象が健康な者であったこと、②運動直前の食事に摂取エネルギーに占める脂質エネルギー比の高い食事と糖質エネルギー比の高い食事が含まれていたこと、③持久性パフォーマンスに対する影響を調べていたこととし、原著論文を検索した。

【結果】

 採用された論文は6編のみであった。6編すべてにおいて脂質および糖質エネルギー比の高い食事間で持久性パフォーマンスに及ぼす影響に相違が認められていなかった。

【結論】

 運動当日の栄養摂取方法として推奨されている方法を満たす糖質エネルギー比の高い食事が脂質エネルギー比の高い食事の摂取よりも持久性パフォーマンス向上に有効であることを認めた研究はなかった。しかしながら、検討した研究が6編と限られており、十分なエビデンスが揃っていない問題点が明らかとなった。

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