2022 年 15 巻 1 号 p. 99-105
スポーツ栄養学の研究で得られた最新の知見は、研究者だけでなく、スポーツ現場に携わる管理栄養士・栄養士やトレーナーからも注目を集めている。本研究では、スポーツ栄養学に関する研究が世界中でどの程度増加しているのか、さらには、どのような栄養素や手法が注目を集めているかという近年の研究動向を把握するために、2016年から2020年の5年間に国際的な研究誌に報告されたスポーツ栄養学に関する研究論文を収集し、分析することとした。スポーツ栄養学、スポーツ科学、スポーツ医学、栄養学、運動生理学に関する代表的な学術雑誌(全26誌)において、論文タイトルに「栄養」と「運動」に関する語句がどちらも含まれている論文を分析対象として抽出した。さらに、それらのタイトルに含まれる語句を【栄養素】、【アウトカム】、【対象者】という観点から分類・分析し、どのような研究論文が最も多く報告されているか検討した。その結果、【栄養素】の中では、“Supplement”(特に“Caffeine”)に関する論文が、【アウトカム】の中では“Performance”に関する論文がそれぞれ最も多く報告されていた。さらに、【対象者】に関しては、競技選手を対象として行われた研究が、全体の30%に満たないことが明らかとなった。