抄録
看護学生の性格特性と看護婦志向の関連をP-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)を使用し検討した。対象は,神奈川県立衛生短期大学衛生看護科看護コース学生141名。主に次の結果を得た。
1. 看護婦を志望し入学しても在学中に看護婦志向が変化する者が少なくない。2年間の変化では,看護婦志向を強く示す者,看護婦不志向の者は減少し,意志のはっきりしない者の増加が認められた。
2. P-Fスタディでは,日本成人女子に比較し,外罰反応(E%),障害優位型(O-D%)が高く,無罰反応(M%),自己防禦型(E-D%)が低かった。また集団一致度(GCR)も低い傾向にあった。
3. 看護婦志向とP-Fスタディの関連において
1) 調査時の志向がプラス群は,攻撃の方向においてNormal(N)の者が多いが,マイナス群は,Nは少なく,Eが高い傾向にある。反応の型では,志向プラス群のNは低く,O-Dが有意に高かった。在学中にこれらの傾向は強まった。入学時の志向マイナス群はGCR低値の者が有意に多かった。
2) 看護婦不志向から志向が強まった群,および志向の変化のない群は,反応が外罰・内罰・無罰に偏重せず平均的で歪みが少ない。志向が負に転じた群は,外罰・内罰・無罰反応を強く示す者が多い傾向があった。