日本看護研究学会雑誌
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救急蘇生活動における認知スタイル別教育方法の研究
-実習初期の学生に対する心肺蘇生法の指導方法に関する検討-
西沢 義子早川 三野雄
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1996 年 19 巻 1 号 p. 1_53-1_60

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抄録

  救急蘇生活動(CPR)における認知スタイル別教育方法についての示唆を得るために,速さ(FとS)と正確さ(AとI)の2要因からCPRを分析した。養護教諭養成課程学生77名の被験者を予めMFFテストでFA,FI,SA,SIの4グループに分類し,呼吸停止・心停止0.5分にセットされたダミーに対してCPRを実施させた。これらの状況はVTRによる録画とCPR記録用紙により観察した。被験者の生体負荷は心拍数,深部および表面体温で測定した。また,STAIテストを用い平常時の特性不安およびCPR実施後の状態不安得点を測定し,以下のような結論が得られた。
  1. 被験者の心拍数はCPR開始2分後には40~50,深部体温は0.07~0.17℃,表面体温は0.09~0.34℃の上昇が認められ,生体負荷はかなり大きかった。
  2. CPR実施後はどの認知スタイルの者でも高不安状態にあった。
  3. 蘇生率はFA型62.5%,SA型48.3%,SI型40.0%,FI型31.4%とA要因が関与していた。平均蘇生時間は171.88±25.01秒であった。
  4. 心マッサージの強さはA,F要因と有意な関連が認められ,不良数は認知スタイルとやや関連する傾向が認められた。
  5. 心マッサージ時間は,反応の速い型で速かった。
  6. FI型にとってCPRは有利な課題であった。

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© 1996 一般社団法人 日本看護研究学会
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