2003 年 26 巻 5 号 p. 5_19-5_29
本研究は,コーピング理論をQOLの検討に取り入れ,精神障害者 (入院患者158名と在宅患者81名) を対象にうつコーピング,抑うつ性,QOLの因果関係モデルを検証した。 その結果,「positive coping behaviors」 は抑うつ性に対し負に,「negative coping behaviors」 は抑うつ性に対し正に,抑うつ性はQOLに負の関係を示したことから,うつコーピングは抑うつ性に直接影響を与え,QOLに対しては抑うつ性を介して間接的に影響を与えることが明らかになった。 そして,寄与率は,抑うつ性に対し在宅患者が28%,入院患者が18%,QOLに対し在宅患者が36%,入院患者が29%であった。 以上より,精神障害者のQOL向上のためには,彼らのうつコーピング能力を高めるための看護介入の重要性が示唆された。