2007 年 30 巻 1 号 p. 1_79-1_88
自己表現のタイプを,2次元モデルを想定して測定することを目的に,欧米で既に標準化されているRAS(Rathus Assertiveness Schedule)30項目の日本語版を作成し,その信頼性・妥当性を検討した。対象はA県下5病院に勤務する看護師213名である。有効回答は212名から得られ,すべてが女性であった。主因子法・Promax回転による因子分析の結果,次の4因子が得られ,それらは概念的枠組みに一致していた:「アサーティブ」「非主張的」「攻撃的」「消極的かつ攻撃的」の各自己表現因子である。因子負荷量などをもとに項目の整理を行った結果,20項目からなる日本語版RAS(RAS-J)を作成した。RAS-Jは,構成概念妥当性も高く,Cronbach’sαによる信頼性も高いことが確認できた。
本研究では,看護師の自己表現について,2次元モデルに適合する結果が得られたが,今後,男性も含めるなど対象者を増加し,また,日本語訳も再検討し,RAS-Jの標準化を進めたい。