2007 年 30 巻 5 号 p. 5_23-5_30
本研究は,臨床での胃切除術後の患者の食事指導において,その教育効果を高めるために開発した自己学習CAI教材を患者教育に取り入れ,知識・理解の領域にどのような学習効果があるか,パンフレット方式と比較分析することを目的とした。
対象は,A病院で胃切除術を受けた患者をパンフレット群9人,CAI群6人に分け,それぞれの群にパンフレット,CAI教材を用いて食事指導を行った。退院直前に「入院中の食事指導の理解度」と,退院1~2ヶ月後に「退院後の食事指導の理解度」について質問紙調査を行った。
その結果,入院中の食事指導の理解度は両群とも高かったが,退院後の食事指導の理解度はCAI群の方が有意に高かった。これらのことより,専門家が関わった入院中の食事指導内容の理解と有用性について両群とも高く有効であったが,専門家の関わりが無くなった退院後の理解度は,内容を確認しながら行うCAI群の方が有意に高く,CAI学習の有効性が示唆された。