日本看護研究学会雑誌
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妊娠時鉄欠乏性貧血における適切な食事指導に関する基礎的検討
-鉄補給のためのレバー過剰摂取の問題点-
赤瀬 智子小林 敏生
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2008 年 31 巻 2 号 p. 2_17-2_24

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抄録

  妊娠時の貧血は,胎児の発育異常や死亡等を生じる危険性の上昇が指摘されている。貧血時は,一般的に鉄分豊富なレバーの摂取が推奨されているが,レバーから鉄を補充すると,ビタミンA(VA)の摂取過剰となり,胎児発育に有害作用を起こす可能性があり,適正な栄養指導をする上で検討が必要である。今回,妊娠マウスに普通飼育餌,レバー,脱脂レバー,レバー油脂,VAの各々の含有餌を摂取させ,胎児死亡や異常の発生を観察した。その結果,一般的なレバー推奨量を毎日摂取すると,胎児へ量依存的な致死的で催奇形性的な影響があった。脱脂レバー群は,胎児発育に影響がなく,VA含有餌やVA同用量のレバーやその油脂群では,胎児の同器官に影響があった事により,主にレバー中のVAが重要危険因子である事が示唆された。妊娠貧血時の栄養指導は,レバー摂取に偏らず,多種の食材から鉄を摂取する事が適切であると考えられる。

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© 2008 一般社団法人 日本看護研究学会
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