2012 年 35 巻 4 号 p. 4_83-4_89
本研究は,要介護高齢者の睡眠/覚醒判定における睡眠日誌の有用性の検討を目的として実施した。要介護高齢者4名を対象に,看護・介護職員の観察による1時間単位の睡眠日誌とアクチグラムの同時測定を21日間(504時間)行い,一致度を調べた。その結果,睡眠日誌で「睡眠」と判定された場合のアクチグラムとの一致率は57~78%,「覚醒」の場合の一致率は91~97%であった。また,別の1名について1分単位3日間(4,320分)の同時測定を行った結果,睡眠日誌で「睡眠」とされた場合の一致率は86%,「覚醒」の場合の一致率は97%であった。本結果から,要介護高齢者の睡眠/覚醒判定において,適切な判断基準を設け,観察および記録の訓練を行えば,睡眠日誌にはアクチグラムに劣らない精度が認められ,覚醒時に体動の少ない対象者においては,より正確に要介護高齢者の「覚醒」を判定できる可能性があると考えられた。