2013 年 36 巻 1 号 p. 1_113-1_121
本研究の目的は,一般病棟における終末期がん患者の生きがいを明らかにすることである。終末期がん患者8名を対象に,インタビューによりデータを収集し質的帰納的に分析を行った。一般病棟に入院している終末期がん患者の生きがいを明らかにした結果,①日常のなかの楽しみ・気持ちが楽になることからくる生きがい,②がんと向き合うことから感じる生きがい,③自分らしく満足のいく生活を送れることで感じる生きがい,の3つに集約された。日常のなかの楽しみ・気持ちが楽になることは,終末期がん患者の生きがいの中心的要素であった。
患者が望む日常生活を整えていく重要性を認識し,がんと向き合い続けていけるよう症状緩和に努めることと,家族や重要他者とのかかわりを深めることが,生きがいを強める重要なケアであることが示唆された。