抄録
本研究は,がん患者が治療方法を自己決定する場面における看護師が実践しているアドボカシーの因子構造を探索し,因子構造モデルを検証することを目的とした。がん診療連携拠点病院20施設に勤務する病棟看護師(小児科,精神科を除く)に郵送調査を実施し,同意の得られた512名のうち449名の有効回答を分析した。結果,探索的因子分析より,「患者の主体的な選択を促進するための支援」10項目,「患者が納得した選択をするための家族との仲介支援」7項目,「患者が病状を正しく理解するための支援」6項目の3因子23項目が抽出された。確認的因子分析より,3因子23項目で構成したがん患者が治療方法を自己決定する場面における看護師が実践しているアドボカシーの因子構造モデルの適合性が統計学的に支持された。