2014 年 37 巻 1 号 p. 1_115-1_122
本研究の目的は,地域の虚弱高齢者において純音聴力ときこえの自己評価の関係を明らかにし,純音聴力ときこえの自己評価がずれている高齢者の実態とその特徴を明らかにすることである。介護予防事業に参加する高齢者に集団自己記入式アンケートと純音聴力検査を実施し,139人が研究対象者となった。その結果,純音聴力ときこえの自己評価がずれている人は,全聴取不可能群できこえが悪いと思わない4人と一部聴取可能群できこえが悪いと思わない7人で,耳の疾患,難聴の他人からの指摘,きこえのハンディキャップを抱えていない傾向がみられた。また全聴取可能群できこえが悪いと思う23人は家族と同居せず,耳の疾患,難聴の他人からの指摘,きこえのハンディキャップを抱えている傾向がみられた。純音聴力の代替としてきこえの自己評価を用いる場合,耳の疾患,難聴の他人からの指摘,きこえのハンディキャップ,同居家族の有無を確認する必要性が示唆された。