2019 年 42 巻 1 号 p. 1_53-1_64
目的:化学放射線治療を受けた頭頸部がん患者のがん罹患から退院後1か月までの病気体験のプロセスを明らかにする。
方法:化学放射線治療を受けた退院後1か月の頭頸部がん患者8名を対象に,半構成的面接を実施し,グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した。
結果:コアカテゴリー『もとのままでいられるために踏み堪える』と10個のカテゴリーが抽出された。声を失わない化学放射線治療を選択したにもかかわらず,“悪いところは喉だけ”に収まらない身体的苦痛を体験するなかで,治療前の状態に戻そうと希望をもち,まとわりつく苦痛に立ち向かうための努力を重ねているプロセスが明らかとなった。
結論:入院前から退院後まで長期的に患者の苦痛と希望を支えるための継続したフォローアップ体制を整備する必要性が示唆された。