2022 年 45 巻 4 号 p. 4_725-4_734
目的:COVID-19感染拡大下,医療従事者が捉えた生殖医療機関の診療体制の変化と高齢不妊患者の治療状況および通院時の様子を明らかにする。方法:生殖医療機関に勤務する医療従事者への質問紙調査結果を量的・質的に解析した。結果:対象の90.5%が診療体制に変化があったと回答した。〔感染対策のための夫・家族の立ち入り制限〕をしている割合は67.9%の一方,〔予約数を制限〕割合は12.2%だった。診療体制の変化に【診療・説明会のオンライン化の浸透】が挙がっていた。高齢不妊患者の治療状況や通院時の様子は,「変わらない」と捉える医療従事者の割合が高かったが,自由記述より,【感染への不安と葛藤しながらも治療は継続】している様相が示された。結論:感染対策を講じる一方で,患者への直接的支援機会が制限され,患者の不安が緩和されにくい状況が推察できた。高齢不妊患者への支援策に,ICTなどの活用に期待が寄せられる。