日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
中枢性尿崩症を呈したサルコイドーシスの1例
佐久間 一基橋本 直子陶山 佳子永野 秀和今田 映美間山 貴文吉田 知彦田中 知明龍野 一郎横手 幸太郎
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2010 年 30 巻 1 号 p. 59-65

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抄録

症例は33歳女性,2008年夏より全身の疼痛が出現した.2ヵ月後より口渇多飲が出現し,当科紹介受診した.MRI検査にて下垂体茎の腫大とガドリニウムでの一様な造影効果を認め,水制限AVP負荷試験より完全中枢型尿崩症と診断された.発熱や炎症反応の上昇,肺門リンパ節の腫脹等は認められなかったが,縦隔,頸部,腋窩リンパ節の腫脹を認め,リンパ節生検よりサルコイドーシスと診断された.サルコイドーシスは全身性の肉芽腫性疾患で多臓器の障害を呈するが,中枢神経病変を合併することは比較的少なく,約1~2%程度で中枢性尿崩症が認められる.一方,中枢性尿崩症の原因としてのサルコイドーシスは0.5%程度とされており,尿崩症の原因鑑別として忘れてはならない疾患である.今回,中枢性尿崩症を呈したサルコイドーシスの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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© 2010 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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