日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
心臓MRIと18F-FDG PETが心病変診断に有用であったサルコイドーシスの1例
磯貝 俊明田中 博之二川 圭介上田 哲郎高森 幹雄藤田 明
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2013 年 33 巻 1 号 p. 111-115

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抄録

症例は41歳,男性.両側肺門リンパ節腫大の精査の結果,サルコイドーシスと診断.心電図で1度房室ブロックを認めたが,心エコーと67Ga citrateシンチグラムでは心臓に異常所見を認めなかったため,薬物治療は行わずに経過観察した.4ヵ月後にPQ間隔の延長を認め,外来精査を予定していたが,高度房室ブロックによるAdams-Stokes症候群を合併し,緊急入院.経静脈的に一時的ペーシングを開始した.心臓サルコイドーシスを疑い,安静臥位ではAdams-Stokes発作を認めないことから,ペーシングリードをいったん抜去し,心臓magnetic resonance imaging(MRI)を施行した.その結果,心室中隔基部にガドリニウムの遅延造影を認めた18F fluorodeoxyglucose positron emission tomography(18F-FDG PET)でも同部位に異常集積を認め,心臓サルコイドーシスによる高度房室ブロックと診断し,副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)療法を開始した.本症例のように心エコーや67Gaシンチグラムで心臓に異常所見を認めないサルコイドーシス例でも,心臓MRIと18F-FDG PETで心病変を同定し,治療につなげることが重要である.

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© 2013 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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