日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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解説
心臓サルコイドーシスのMRI撮像法と異常所見の意味付け
天野 康雄
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2013 年 33 巻 1 号 p. 61-63

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抄録

心臓サルコイドーシスは,サルコイドーシスが直接死因となった症例の約80%で,その原因とされている重篤な合併症である.MRIは心臓サルコイドーシスの描出に有用であり,遅延造影MRIは診断基準の副徴候に採用されている.遅延造影MRIは組織内の造影剤量の差異を描出する撮像法で,心臓サルコイドーシスに関連するfibrosisおよびgranulomatous infiltrationを描出する.遅延造影MRIは診断に有用であるのみならず,その所見は不整脈や心不全などと関連し,予後の予測に有用である.T2強調像はgranulomatous infiltrationの浮腫や炎症を高信号域として描出する.T2強調像で描出される心筋病変は,不整脈や18F-FDG PETで描出される炎症と相応し,副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)が有効である可能性が示唆される.シネMRIは心形態の変化や機能異常を高い再現性で描出する.心臓MRIは以上の撮像法を一度の検査の中に含めており,心臓サルコイドーシスの診断,治療方針の決定,予後の予測や経過観察に有用である.

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© 2013 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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