日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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総説
サルコイドーシスへのTNF阻害薬の使用
有害事象とそのsafety management
徳田 均
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2014 年 34 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

【要旨】副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)や免疫抑制薬治療に不応の難治性サルコイドーシス例に対してTNF阻害薬が欧米を中心に試験的に導入され,比較的良好な治療効果が確認されている.効果の期待される病型,臨床指標,薬剤などもほぼ明らかとなっている.しかし短期投与では再発が多く,長期投与した場合の効果については十分検討されているとはいえない.一方これらTNF阻害薬は関節リウマチ,クローン病などの免疫性炎症性疾患の領域で既に広く使用され,めざましい効果を挙げると共に,低頻度ながら重大な副作用が発生することがわかっている.特に感染症が問題で,死亡例も少なくなく,その対策も議論されている.しかしサルコイドーシスにおけるこれら有害事象の疫学的検討は母数が少ないこともあって充分ではない.またTNF阻害療法の特異な副作用としてサルコイドーシス発症の報告が相次いでいる.この逆説的な事態はサルコイドーシスを成立させる免疫学的機序が複雑である事を示している.

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© 2014 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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