【要旨】症例は40歳男性.X年6月の気管支鏡検査でサルコイドーシスと診断され,神経サルコイドーシスと考えられる四肢の痺れに対し,同年7月よりプレガバリンを内服していた.X+1年4月より肝障害と全身の広範な皮疹を認め緊急入院.血清ACE 28.3 IU/L,sIL2R 4,860 U/mL,リゾチーム 14.1 µg/mLと肝サルコイドーシスの合併を疑ったが,肝生検では肉芽腫を認めず,胆汁うっ滞とリンパ球浸潤を認めた.また,皮疹は多形性紅斑であり,尿中バルビツール酸系薬物検査が陽性であったことと,ペア血清でのHHV-6 IgG抗体価の上昇を認めたため,薬剤性過敏症症候群(DIHS)が疑われた.全薬剤を中止し,ステロイドパルス療法と免疫グロブリン製剤の併用で救命し得た.本例はDIHSを発症する既知の薬剤を使用していなかったが,サルコイドーシス経過中にHHV-6の再活性化を認めた稀な例であったため報告する.HHV-6の活性化はDIHSとサルコイドーシスに共通した病態であり,これは制御性T細胞(Treg)が関与している可能性があり両疾患の病態解明に重要と考えられる.
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