日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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学会受賞記念講演
サルコイドーシスの病態に関する多面的な評価
乾 直輝
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2017 年 37 巻 1_2 号 p. 15-18

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抄録

サルコイドーシスは多様性に富んだ疾患である.病態解明の一助とすべく行った3検討について解説する.(1)サルコイドーシス患者の肺胞マクロファージでは1α水酸化酵素遺伝子の発現が亢進し,サルコイドーシスにおけるカルシウム代謝異常と疾患活動性に関連していた.(2)肺サルコイドーシス患者では抗血管内皮抗体の発現が増強し,抗体価は多臓器に病変を持つ患者でより高値であった.経過中にステロイド投与を必要とした症例では診断時の抗血管内皮抗体価が高値であった.(3)診断時にステロイド治療を必要としない症例の累積増悪発生率は5年で15%,10年で28%,15年で31%であり,診断時の臓器病変数は増悪の予測因子であった.新規病変の出現は,診断後1年で2%,5年で9%,10年で15%で,心臓と皮膚病変が多かった.

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© 2017 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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