日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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解説
炎症と循環器病のフロンティア
特に最近の動脈硬化とマイクロバイオータ研究に関して
星賀 正明
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2021 年 41 巻 1_2 号 p. 45-48

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抄録

動脈硬化を起因とする心血管病は,生命および健康寿命を著しく脅かしている.動脈硬化は,病理学的観察からマクロファージが主体の慢性炎症であるとされ,脂質プラークの縮小を目的としたスタチン製剤が,抗炎症効果をも発揮することが示された.一方で,炎症を惹起するメカニズムとして無菌性炎症が注目され,コレステロールやカルシウムの結晶によるインフラマソーム活性化が動脈硬化進展メカニズムと示唆されている.また,マクロファージのみならず,好中球が急性心筋梗塞発症に関与すること,好中球細胞外トラップが血栓形成に深く関わることが示された. 一方,ヒトには多様性をもった数百兆個の常在微生物(マイクロバイオータ)が,口腔内や消化管を中心に共生する.近年,メタゲノム解析や次世代シークエンサーなどの技術革新により研究が進み,先行していた腸内細菌に続き口腔内細菌叢と動脈硬化の関連について,我々のデータも含め紹介する.

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© 2021 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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