2020 年 26 巻 1 号 p. 47-51
開口部形質細胞症は人体開口部に生じ,組織学的に形質細胞の浸潤を特徴とするまれな炎症性粘膜病変である。患者は56歳,女性。下顎前歯部の発赤と疼痛を主訴に当科を受診した。下顎前歯部歯肉に帯状の発赤を認めた。病理組織学的に,形質細胞を主とする炎症性細胞浸潤を認め,免疫組織化学的にはイムノグロブリン(Ig)軽鎖kappaとlambdaの陽性細胞が混在していた。歯周治療とステロイド含有軟膏の塗布により発赤部は改善した。下顎前歯部歯肉に生じた開口部形質細胞症と診断した。