目的:白色海綿状母斑(white sponge nevus;WSN)は口腔や膣などの粘膜に生じる白色病変のひとつであり,その表面が特徴的な海綿状を呈している。われわれは,家族性および非家族性WSNにおけるケラチンの違いについて,免疫組織化学的解析を行った。
方法:家族性WSN 2例(ともに女性,35歳,38歳),非家族性WSN 6例(男性2例,女性4例,平均年齢32.7歳)の生検時の標本を使用し,抗ケラチン4,5,6,10,13,16抗体を用いて通法に従い染色した。
結果:H-E染色では家族性と非家族性で明らかな違いはみられなかった。非家族性WSNでは上皮層が抗ケラチン13抗体で染色されたが,家族性WSNの2例では染色されなかった。その他の抗体での染色性に差異はみられなかった。
結論:抗ケラチン13抗体での染色性が家族性と非家族性との間で異なることから,家族性と非家族性は病因が異なる可能性が示された。
抄録全体を表示