日本口腔内科学会雑誌
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26 巻, 1 号
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総説
  • —本邦での新たな疾患概念の提唱—
    伊東 大典, 前田 初彦
    2020 年 26 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/30
    ジャーナル フリー
    WHOが2017年に提唱した「口腔潜在的悪性疾患(oral potentially malignant disorders;OPMDs)」は,従来あった「前癌病変」と「前癌状態」を包含した概念であり,「臨床的に明確な前駆病変であるか正常粘膜であるかにかかわらず,口腔における癌の発生リスクを有する臨床的状態」と定義されている。
    OPMDsには,紅板症や白板症を含む12の疾患がリストアップされている。この中には,本邦においても相当数の発症がみられ,かつ口腔癌の重要な前駆病変として広く認知されているものもあれば,本邦においてはほとんどみられない疾患および状態,またはOPMDsに入れることに議論の余地がある疾患も含まれる。
    本稿では,本邦の臨床,研究,および教育の場においてOPMDsの概念がいかに導入され運用されていくのが望ましいかを,文献的に考察して論じる。
原著
  • 羽藤 裕之, 坂田 健一郎, 佐藤 淳, 浅香 卓哉, 渡辺 陽久, 武田 遼, 大賀 則孝, 佐藤 千晴, 北川 善政
    2020 年 26 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/30
    ジャーナル フリー
    2013年から2017年の5年間に北海道大学病院口腔内科を受診した1次性の口腔内灼熱症候群(burning mouth syndrome:以下BMS)患者110例についての特徴と治療効果を後方視的に検討した。調査項目として年齢,男女比,受診経路,病悩期間,治療効果について検討した。対象患者の平均年齢は66歳で女性が88%を占めていた。患者紹介率は76%で,開業歯科からの紹介が最も多かった。病悩期間の中央値は12か月(4~360か月)であった。平均治療期間は13か月(中央値:4.5か月,1か月〜77か月)であった。治療法としては簡易精神療法や薬物療法が中心で,漢方薬の使用例が多く,治療に難渋する症例については抗不安薬など多種類の薬剤が使用されていた。治療効果としては55%の患者に症状の改善を認めていた。
  • 山本 亜紀, 神部 芳則, 柏崎 明子, 森 良之, 小宮根 真弓, 出光 俊郎
    2020 年 26 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/30
    ジャーナル フリー
    目的:白色海綿状母斑(white sponge nevus;WSN)は口腔や膣などの粘膜に生じる白色病変のひとつであり,その表面が特徴的な海綿状を呈している。われわれは,家族性および非家族性WSNにおけるケラチンの違いについて,免疫組織化学的解析を行った。
    方法:家族性WSN 2例(ともに女性,35歳,38歳),非家族性WSN 6例(男性2例,女性4例,平均年齢32.7歳)の生検時の標本を使用し,抗ケラチン4,5,6,10,13,16抗体を用いて通法に従い染色した。
    結果:H-E染色では家族性と非家族性で明らかな違いはみられなかった。非家族性WSNでは上皮層が抗ケラチン13抗体で染色されたが,家族性WSNの2例では染色されなかった。その他の抗体での染色性に差異はみられなかった。
    結論:抗ケラチン13抗体での染色性が家族性と非家族性との間で異なることから,家族性と非家族性は病因が異なる可能性が示された。
  • 平賀 智豊, 三邉 正樹, 鈴木 大貴, 佐藤 一道, 岡田 聡, 仁科 牧子, 野村 武史
    2020 年 26 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/30
    ジャーナル フリー
    国際頭痛分類第3版beta版1)では,三叉神経痛は典型的三叉神経痛(13.1.1)と有痛性三叉神経ニューロパチー(13.1.2) の小項目に分類された。2017年7月から2019年12月の間に当院の歯科・口腔外科および神経内科とのリエゾン外来である頭痛・口腔顔面神経疾患外来を受診し,三叉神経痛と診断された48名の患者の臨床統計を行ったので報告する。性別は男性17名,女性31名,平均年齢は60.0±13.8歳であった。診断では13.1.1が46例で最も多かった。13.1.2の下位分類である占拠性病変による有痛性三叉神経ニューロパチーを2例認め,このうち,1例は感覚障害や電気生理学的異常所見を認めず,さらにカルバマゼピンに対する治療反応性が良好で,13.1.1の特徴を有していた。三叉神経痛の診断には,脳神経スクリーニング検査とMRI検査による頭蓋内スクリーニングが必須と考えられた。
症例報告
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