日本口腔内科学会雑誌
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原著
国際口腔顔面痛分類第1版を用いた当科の三叉神経痛症例の臨床的検討
田所 壯一朗野間 昇高根沢 大樹小笹 佳奈岡田 明子篠崎 貴弘青野 楓今村 佳樹
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2021 年 27 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

国際口腔顔面痛分類第1版(以下ICOP-1)では,三叉神経痛(ICOP-1:4.1.1)は典型的三叉神経痛(4.1.1.1),二次性三叉神経痛(4.1.1.2)および特発性三叉神経痛(4.1.1.3)の小項目に分類された。2005年11月から2016年12月の間に当科を受診し三叉神経痛と診断された105名の患者の臨床統計を行い治療経過,予後について検討したので報告する。診断では典型的三叉神経痛が97例で最も多く,純粋発作性が86例,持続性顔面痛を伴う典型的三叉神経痛が11例であった。二次性三叉神経痛は7例,特発性三叉神経痛では1例認めた。4.1.1.2の全症例において下位分類である「占拠性病変による三叉神経痛(4.1.1.2.2)」であったが,内2例は陽性徴候または陰性徴候を呈しており,経時的に二次性三叉神経痛の特徴的な発作痛へ移行した。カルバマゼピンに対する治療反応性は純粋発作性においては良好であったが,持続性顔面痛を伴う典型的三叉神経痛および特発性三叉神経痛では有効性は低かった。三叉神経痛の病態の分類やステージ,経過を考慮し薬物療法,微小血管減圧術,高周波熱凝固法などの有効な治療法を選択する必要があると考えられた。

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