日本口腔内科学会雑誌
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原著
当院における医原性末梢三叉神経障害症例の臨床的検討
山本 裕義西山 明宏杉浦 慧田中 斉山﨑 梓有泉 高晴村山 雅人笠原 清弘髙野 正行片倉 朗
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2021 年 27 巻 1 号 p. 13-20

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抄録

2011年5月から2019年3月31日までに本学急性期神経機能修復外来を受診した下歯槽神経障害あるいは舌神経障害の患者421例(重複症例3例を含む)を対象とし,性別,患者数の年次推移,当院受診までの期間,障害神経の内訳,原因,障害神経の年次推移,受診経路などについて検討を行った。症例数は年次的に増加傾向にあった。知覚障害発現から受診までの期間は,最短で1日,最長で40年22日で発症から2か月未満と12か月以降に受診患者数のピークを認めた。障害がみられた神経は下歯槽神経が282例,舌神経が142例で,原因は抜歯が最も多く認められた。受診症例のうちで神経修復術など外科的治療を施行したのは47例であった。舌神経損傷では下歯槽神経と比較して症状が重症化し外科的治療を要する割合が高い傾向があった。今後,臨床歯科医師に対して,神経障害の周知とともに,舌神経の走行部位や損傷時の症状などの啓発を行っていく必要があると考える。

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