日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原 著
灸頭鍼における艾球落下防止策の検討
―デンプン糊の鍼柄塗布―
新原 寿志長岡 里美
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2015 年 40 巻 2 号 p. 41-47

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抄録
【目的】臨床や教育現場において、より安全な鍼灸技術が求められている。本研究の目的は、灸頭鍼の安全性を高めるために、デンプン糊の鍼柄塗布が艾球落下防止策として有用であるか否かについて検討することにある。
【方法】鍼にはコイル鍼柄と非コイル鍼柄のステンレス製毫鍼(50ミリ・20号)を、艾には灸頭鍼用艾を用いた。艾球重量は0.3gと0.6gとし、艾球の鍼柄への取り付けは挿入法と挟込法を、鍼柄の艾球内深度は非貫通と貫通を各々採用した。艾球落下を誘発するための振動負荷は横揺負荷と縦揺負荷とし、頻度は艾球重量0.3gで125Hz、艾球重量0.6gで135Hz、負荷時間は艾球重量0.3gで180秒、艾球重量0.6gでは270秒、振幅は共に17.5 mmとした。艾球落下試験は、上記の各条件下で灸頭鍼に横揺負荷あるいは縦揺負荷を与えることにより行った。艾球が最も落下しやすい条件下において、デンプン糊の鍼柄塗布の有用性について検討した。なお、艾球落下試験は各条件下で各々10回ずつ行った。
【結果】艾球落下数は、横揺負荷および縦揺負荷ともに、艾球重量0.6g・挟込法・貫通・非コイル鍼柄の条件下で最も多かった(両負荷共に10回中10回)。また、艾球落下までの時間は、両負荷で各々12±9秒と3±1秒であった。これらの条件下において、灸頭鍼に艾球落下防止策を施して横揺負荷あるいは縦揺負荷を与えたところ、艾球の落下は全く認められなかった(両負荷共に10回中0回)。
【結語】デンプン糊の鍼柄への塗布は、少なくとも0.6gまでの艾球の落下防止策として有用であることが示唆された。今後は使用する艾の品質などについても検討し、艾球落下防止策の適用範囲を明らかにする必要があると考えられた。
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© 2015 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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