日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原 著
梨状筋下で坐骨神経刺激が可能な殿部刺鍼点の検討
藤井 亮輔末武 良太山崎 紘照萩野谷 泰朗鶴田 理絵及川 真理子坂本 裕和
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2015 年 40 巻 2 号 p. 73-79

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抄録
【目的】坐骨神経の起始部に高い確率で刺激することが可能な刺鍼点を検討する。
【方法】剖検(坐骨神経起始部の体表投影部位を推定するための剖検)と、臨床試験(同部位の刺鍼点としての妥当性を検証するための低周波鍼通電試験)で構成する。<剖検<東京医科歯科大学解剖学実習体 3 体(男性)の殿部 6 側を用い上後腸骨棘等の指標物と梨状筋下の坐骨神経起始部との位置関係を観察した。<臨床試験>健康成人 15 名の左右殿部 30 側を対象に解剖所見で推定した梨状筋下刺鍼点に刺入した 90mm・24 号鍼の有効刺激率を、坐骨神経支配筋の収縮と下肢への放散感の有無で評価した。また、有効刺激となる最少刺鍼深度(消退深度)を計測した。有害事象は試験直後における坐骨神経の機能脱落症状の有無で評価した。梨状筋下刺鍼点の触察と鍼施術者は固定した。
【結果】梨状筋下刺鍼点を「上後腸骨棘から尾側方向に引いた垂線(3 ~ 4 横指幅)が大坐骨孔に進入する地点の仙骨外縁陥凹部」と仮定した。この点と上後腸骨棘間の距離は 65mm± 11mmだった。同点に直刺した鍼に通電した結果 29 側に坐骨神経支配筋の収縮(大腿二頭筋 20 側など)を認めたので有効刺激率は 96.7%だった。下肢放散感の自覚例は 22 側(足底 13 側など)だった消退深度は男 65.3 ± 5.3mm、女 78.6 ± 8.3mmで男女間に有意差を認めた(p<0.05)。また、女性ではBMI と殿囲との相関性を認めた(BMI:r=0.75、殿囲:r=0.77)。有害事象は確認されなかった。
【考察】梨状筋下刺鍼点に刺入した鍼の坐骨神経刺激率が高率であったことは、同点が容易に触知できる指標物に依拠していたためと考えられる。有害事象を認めなかったことも考慮すると同点の坐骨神経刺激点としての有用性が示唆された。
【結論】上後腸骨棘から尾側方向に引いた垂線が大坐骨孔に進入する地点(上後腸骨棘から約 65mm)の仙骨外縁陥凹部に刺入した鍼が直進することを前提として推論すると、男は 65mm前後、女は 79mm前後の深度で坐骨神経起始部を安全かつ高い確率で刺激する。
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© 2015 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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