日本東洋医学系物理療法学会誌
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第41回学術大会 特別講演
スポーツ障害・外傷に対する鍼通電療法
- 周波数の違いによる臨床の実際 -
宮本 俊和
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2016 年 41 巻 2 号 p. 9-16

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抄録
低周波鍼通電療法は、スポーツ分野で広く応用されている。鍼治療は、スポーツ動作の繰り返しによって生じる慢性のスポーツ障害の治療、スポーツ外傷・障害の予防、コンディションの維持など薬物療法より適応範囲が広い。  低周波鍼通電療法は、1970年代に鍼麻酔法として中国で紹介され、それ以降、諸外国で鍼鎮痛のメカニズムが研究されるようになった。また、骨格筋に対する研究では、一過性の筋疲労による筋力や筋持久力の低下を早期に回復することが報告されている。動物実験では、①筋損傷の修復を早める、②筋萎縮の進行を抑制する、③浮腫を抑制する効果があるなど、組織学的にも検証されつつある。スポーツ外傷・障害に対しては、大学スポーツ選手の外傷・障害の効果、腰痛に対する効果、肉離れに対する効果などが報告されている。このように低周波鍼通電はスポーツ分野で広く用いられている。  私たちは、スポーツ外傷・障害の低周波鍼通電療法を行なう際に、周波数を以下の3つに分類して治療を行っている。 (1) 1〜3 Hzは、筋肉が単収縮する周波数で筋の緊張緩和や神経痛などに用いる。また、疼痛閾値の上昇、免疫機能を高めるためには、合谷穴—孔最穴、足三里穴—三陰交穴など手指や足趾が収縮するような刺激をする。電流量は筋肉が収縮する程度の強さとする。通電時間は、通常15分程度とするが、鍼麻酔などによる全身の痛覚閾値の上昇を期待する場合は30分行う。 (2) 30〜60 Hzは、筋肉が強縮する周波数で筋疲労の軽減や腱炎などに用いる。アキレス腱炎や筋腱移行部に起こった肉離れなどで用いる。間欠的な刺激をする場合が多い。電流量は刺激した筋肉または腱が強縮する強さとする。持続的刺激以外に間欠的な通電刺激を行うことが多い。通電時間は15分程度とする。 (3) 100〜120 Hzは、筋収縮は起こらないが通電局所に刺激を感じる周波数である。関節部の痛みなどの局所鎮痛や腫脹の軽減などに用いる。電流量は、刺鍼部に刺激を感じる程度とする。持続的刺激以外に間欠的な通電刺激を行うことが多い。通電時間は15分程度とする。  本稿では、スポーツ外傷・障害の治療法を紹介するとともに、運動後の免疫力低下に及ぼす効果について紹介する。
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© 2016 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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