日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原著
押圧刺激が筋活動におよぼす影響
古田 高征
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2020 年 45 巻 2 号 p. 27-31

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抄録

【目的】筋活動への徒手刺激の影響を検討するため、筋力と筋電図の変化から検討した。
【方法】対象は研究ついて説明を行い同意が得られた健康な成人男性 5 名(28.5 ± 3.2 歳)とした。 被験者は椅坐位とし、2㎏荷重を膝関節 0 ~ 10 度で保持させる等尺性運動 2 分の運動負荷を 3 回 行わせた。押圧刺激は大腿部に対して、1 点 3 秒にて、約 5㎏として、休息中に行った。一方、軽 擦刺激は、手掌および手指にて約 1 ~ 2㎏の圧力にて均等に押圧し、約 30㎝ / 秒の速度で大腿部 を軽擦した。無処置では安静のみとした。測定は筋力と筋電図とし、筋力の測定は運動負荷前後、 休息後に行った。筋電図は内側広筋部、大腿直筋と外側広筋の大腿筋溝部から導出し、連続的に 測定し、実験後に積分処理を行い筋電図積分値として検討を行った。
【結果】運動負荷 1 回目の前の測定値を 100 として、経過を変化率で示すと、筋力は無処置では 96.5 ± 5.9、押圧刺激では 106.6 ± 4.1、軽擦刺激では 103.3 ± 5.6 となった。筋電図積分値は、運 動負荷 1 回目にて低下し、増大した。無処置の内側広筋部と大腿筋溝部では 100.8 ± 0.7、99.6 ± 8.1 であった。押圧刺激では 97.7 ± 15.4、105.4 ± 6.8。軽擦刺激では 104.7 ± 5.0、101.6 ± 5.8 となった。
【考察】筋力および筋電図積分値は、押圧刺激や軽擦刺激では負荷前の活動が維持される経過がみ られた。これは徒手による刺激により、組織の血液循環が促進され、筋活動が維持されたのでは ないかと思われた。
【結語】徒手の刺激が筋活動に与える影響を検討するため、運動負荷前後および休息後の筋力と筋 電図の変化を検討した。その結果、筋力は無処置では運動負荷により徐々に低下したが、押圧刺 激や軽擦刺激では負荷前の活動が維持された。筋電図積分値は、無処置より大腿筋溝部または内 側広筋部が増大した。

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© 2020 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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