日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原著
あん摩基礎実技指導の実態と あん摩実技指導担当教員の標準化に対する意識調査
中川 祐一石田 隆雄伊藤 健一和田 佳造緒方 昭広和田 恒彦徳竹 忠司濱田 淳
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2020 年 45 巻 2 号 p. 21-26

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抄録
【目的】現在のあん摩基礎実技指導の実態と標準化に対するあん摩実技指導担当教員の意識を調査 し、標準化に向けての課題を抽出することを目的とした。
【対象・方法】あん摩マッサージ指圧師養成課程を有する全 86 校(大学 1 校、特別支援学校 58 校、 専修学校 27 校)のあん摩実技指導担当教員の全員を対象とし、郵送によるアンケート調査を実施 した。
【結果】回答率は 52.2%(320 名中、167 名)であった。あん摩基礎実技指導の標準化については必 要と感じている教員が過半数を超えていたにも関わらず、実現可能性が高いと感じている教員が 1 割を切っていた。指導環境は、約 9 割の教員が畳での指導を必要と感じていたが、主に畳で指導 を行っているとの回答は約 1 割であった。視覚障害者を対象とする養成校(以下、視障校)と晴 眼者を対象とする養成校(以下、晴眼校)で、使用している教科書及び重視している指導項目に 差異がみられた。指導体制は、指導困難な生徒・学生の増加を感じている教員が約6割であった。チー ムティーチングの実行率は約 8 割であった。教員間での指導内容の共有については細かい部分ま でできているとの回答が 3 割を下回った。学内共通評価表については使用していないとの回答が 3 割を超えていた。学校間交流実施率は、2 割を下回った。
【考察・結語】あん摩基礎実技指導の標準化の課題として、1) 畳での指導とベッドでの指導割合に ついての検討、2) 視障校と晴眼校で使用している教科書の統一、3) 指導困難な生徒・学生の増加 への対応、4) 学内共通評価表の使用の推進、5) 教員間での指導内容共有の推進、6) 視障校と晴眼 校および地域間の指導内容の統一、7) 学校間交流の促進、8) 標準化に向けての教員の意識向上が あげられる。
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© 2020 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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