日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原著
骨盤位矯正を目的に実践された病鍼連携の成果
― 骨盤位矯正が図られた週令数およびそのときの骨盤位矯正率に着目した解析より ―
畑瀬 理惠子糸井 信人長谷川 尚哉林 正敏
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2020 年 45 巻 2 号 p. 33-40

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抄録

【目的】当院の妊娠 28 週以降の骨盤位矯正を目的とした鍼灸治療を含む施術介入が骨盤位矯正率 に与える要因として初・経産婦別、骨盤位診断妊娠週数、鍼灸治療初診時妊娠週数 ( 以下、初診時 妊娠週数 )、骨盤位診断妊娠週から鍼灸治療開始までの期間 ( 以下、治療開始期間 ) を検討し、さ らに産科の紹介の有無によってその要因に差があるか検討することを目的とした。
【方法】2009 年 2 月から 2010 年 12 月までの 23 ヶ月間において、当院で骨盤位矯正を目的に鍼灸 治療を含む施術介入を行った 188 例(年齢 32.2 ± 3.9 歳;範囲 22 ~ 45 歳 ) を調査対象とし、このデー タを解析・分析した。
【結果】平均治療回数は 1.5 ± 0.9 回 ( 範囲 1 ~ 6 回 )。骨盤位矯正率の年別内訳は 2009 年 80.6%( 施術総数は 72 例、骨盤位矯正数は 58 例 )、2010 年は 97.7%( 施術総数は 133 例、骨盤位矯 正数は 130 例 ) であった。骨盤位矯正率は解析全年において 91.7% となり、経時的に増加する傾 向にあった。また、病鍼連携の有無で比較したところ、病鍼連携あり矯正群では病鍼連携なし矯 正群に比べ、骨盤位診断妊娠週数 (p=0.001)、初診時妊娠週数 (p<0.001)、治療開始期間 (p<0.001) を有意に短縮させた。
【考察】骨盤位の矯正率に影響を与える要因は医師から骨盤位の矯正を目的とした鍼灸院の紹介が あることによって短縮され、骨盤位矯正率を高める可能性があると示唆される。そのためには病 産院と鍼灸院が密接な情報共有を行い、それを持続するための関係を構築することが重要である と考える。
【結語】医師による骨盤位矯正を目的とした鍼灸院への紹介により、骨盤位矯正率は経時的に増加 した。

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© 2020 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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