日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原著
神津島村民の運動器疼痛の実態と意識に関する調査
- 性別・慢性疼痛の有無・鍼灸受療希望での比較分析 -
近藤 宏白石 一博松田 えりか石松 菜摘
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2022 年 46 巻 2 号 p. 49-57

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抄録
【目的】神津島村の住民の運動器疼痛の実態と意識について把握するとともに、鍼灸受療希望のある住民の特徴を明らかにし、この地域での鍼灸の普及啓発の可能性を検討した。
【方法】対象者は神津島村役場保健医療課生きがい健康センター(以下、健康センター)で行われた健康診断に参加した神津島村住民とした。研究デザインは集団調査法である。無記名による自記式質問調査票を用いて健康センターで実施した。調査項目は、①対象者の特性、②痛みの実態と意識、④身体の痛みに対する対処方法、⑤鍼灸受療の経験と意識とした。有効回答 640 件について性別および慢性疼痛の有無での比較を行い、データの特性により t 検定あるいは MannWhitney の U 検定を用い、割合の比較にはカイ二乗検定を用いて解析した。慢性疼痛の有無での調査項目との関連性はロジスティック回帰分析を行った。有意水準は 5% とした。
【結果】対象者全体における疼痛有訴者の割合は 55.8% で、女性の割合が有意に高かった(P<0.05)。42.5% が 3 カ月以上痛みが続いていた。過去の身体の痛みの治療などの対処で困ったことや不安を持ったことがある者の割合は 29.2% であった。具体的な内容では、島内に十分な治療機関がなかった(58.8%)が最も多い。慢性疼痛の有無との関連性では、年齢、性別や痛みに対する意識の一部で有意差(P<0.05)が認められた。過去 1 年以内に鍼灸を受けたことがある者の割合は 3.9 % であった。鍼灸受療を希望する者は 40 歳代が最も多く、男性より女性の方が多かった。
【結語】神津島村民の運動器疼痛に対する実態と意識を把握し、運動器疼痛への施策を検討するための基礎資料を資することができた。また、鍼灸受療希望のある住民の特徴を把握し、この地域での鍼灸の普及啓発の可能性を検討することができた。
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© 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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