抄録
【目的】中央アジアに位置するキルギス共和国の視覚障害を有するマッサージ師の就労状況については、あまり知られていない。本研究の目的は、キルギス共和国の視覚障害を有するマッサージ師にアンケート調査を行い、就労の状況や鍼療法に対する意識について調査することである。
【方法】調査対象者は、キルギス共和国のビシュケク市内の医療機関などでマッサージを実施している、視覚障害を有するマッサージ師 40 人(平均 34.8 歳)とした。研究調査は無記名式質問紙調査とした。対象者の募集は機縁法により行った。調査項目は基本属性、就業状況、マッサージの就業や鍼療法に対する意識の項目などとした。回答は多肢選択式(単一または複数)とした。集計は単純集計およびクロス集計を行い、統計解析はカイ二乗検定を行った。有意水準は 5%未満とした。
【結果】勤務先は、国立家庭医療センター 21 人(52.5%)が最も多かった。週当たりの労働日数は、平均 5.6 ± 0.5 日であった。勤続年数は、平均 7.9 ± 1.4 年であった。マッサージでの月収は、平均 12,225 ± 5,374 ソム、中央値 10,000 ソムであった(1 ソム= 1.23 円 2020 年 11 月現在)。障害等級 1 級の方が 2 級・3 級よりも有意に低かった(P<0.05)。32.5% が仕事上の困難を感じており、障害等級1級の人の方が働く上で困難を感じている割合が有意に高かった(P<0.05)。一方で87.5% が自身の仕事について満足していた。また、67.5% が鍼療法をやってみたいと回答した。
【考察・結語】キルギス共和国の視覚障害を有するマッサージ師の就労の状況や鍼療法に対する意識の一端を明らかにすることができた。重度視覚障害者の方が年収や仕事をする上で課題が多く、これらは、就業先での視覚補償に関する設備をはじめ、視覚障害者が働きやすい環境や支援体制が整備されていないことが影響しているものと考えた。