日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原 著
臨床用評価支援アプリ「CAST-Q」の改良とユーザ満足度調査
福島 正也
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 47 巻 2 号 p. 85-92

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抄録
【目的】本研究は、ユニバーサルデザインを指向した臨床用評価支援アプリ「CAST-Q」(以下、アプリ) のバージョンアップおよびユーザ満足度調査を実施し、前回調査との比較を通じ、バージョンアッ プの影響を検証することを目的とした。
【方法】[期間]2021 年 9 月~ 10 月。[対象]筑波技術大学で鍼灸手技療法の施術を行っている研 修生と学部 4 年生、計 18 名。[場所]筑波技術大学 附属東西医学統合医療センター、手技鍼灸実 習棟。[方法]視覚的アナログスケール(VAS)、ローランド・モリス質問紙(RDQ)、バーセルイ ンデックス(BI)、機能的自立度評価表(FIM)に対応したアプリのバージョンアップを行い、タ ブレット端末(Apple 社製 iPad)にインストールしたアプリの試用を依頼した。試用後に、無記名 式ウェブアンケート(所属、視覚の状況、Apple 社製タッチデバイスの利用状況、System Usability Scale[SUS]、アプリの必要性、アプリへの意見・要望)への回答を依頼した。回答は単純集計し、 計数、中央値、四分位範囲、最頻値を表記した。また、前回調査と今回調査の差をマン・ホイッ トニーの U 検定を用い、有意水準 5%で比較した。
【結果】研究趣旨に同意した 12 名(全盲 3 名、弱視 5 名、晴眼 4 名)から回答が得られた。SUS スコアは参加者全体が 73.8(前回 62.5)、視覚障がいを有する者が 77.5(前回 60.0)であった。また、 アプリの必要性の中央値は 5.0(前回 4.0)であった。参加者全体と視覚障がいを有する者のいず れにおいても、SUS スコア(各 p = 0.029, 0.008)、アプリの必要性(各 p = 0.041, 0.049)で前回調 査からの有意な改善が認められた。
【考察】調査結果から、「CAST-Q」は標準以上のユーザ満足度が得られ、かつ、十分な視覚障がい アクセシビリティが確保されており、紙媒体に代わるユニバーサルデザインの評価ツールとして 有用と考える。
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© 2022 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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