日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
文献レビュー
男性不妊に対する鍼灸治療に関する文献検討
- Pubmed を用いた調査 -
遠藤 睦実池宗 佐知子
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 48 巻 2 号 p. 133-141

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抄録
【目的】不妊治療を行う夫婦にとって、女性と同様に男性が問題を抱えている場合があり、鍼灸治療は女性不妊だけでなく男性不妊に対しても用いられている。しかしながら、システマティックレビューでは、研究の質が低いことが問題点として挙げられている。研究の質を高めた男性不妊 に対する臨床研究を実施するためには、一定の治療方法を確立する必要がある。そこで、英語で発表されている症例報告や臨床研究から、有効であると考えられる鍼灸治療の方法を明らかにす ることを目的とした。
【方法】分析対象とした論文は、PubMed に 1990 年 1 月 1 日から 2023 年 5 月 16 日までに発表され た、男性不妊に対する鍼灸治療を実施し症例報告、臨床報告、臨床研究に関する論文とした。抽出された論文から、治療期間や治療方法などを含む鍼灸治療方法、経穴、さらにそれらの有効性 について評価した。
【結果】検索した結果、74 編が抽出され、そのうち54 編は、今回設定した除外基準に該当する論文であったことから、20 編を分析対象とした。今回の対象となった論文の主な疾患は、いわゆる 男性不妊 5 編、乏精子症・無精子症に関する論文 8 編であった。治療時間は 20 ~ 40 分、治療頻度は週 2 回、治療期間は 8 週間が最多層であった。さらに、治療に用いた経穴の使用頻度は、関元穴、 三陰交穴は 15 編で最多となり、次いで太渓穴、帰来穴、腎兪穴であった。精液所見では、精子運 動率は 9 編で改善がみられた。
【考察・結語】今回抽出された文献は、精液所見異常が認められる男性不妊患者を対象としたものが多かっ た。さらに、症例の集積が多く、エビデンスレベルの高い研究は少なかった。しかしながら、 臨床研究を実施する上で目安となる治療法が明らかとなった。本研究で得られた成果を基にコホー ト研究やランダム化比較試験の実施を進める必要がある。
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© 2023 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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