日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
ケースレポート
病態把握の再検討により功を奏した両上肢のしびれに対する鍼灸治療の一症例
- 頸椎後縦靱帯骨化症の手術を経験した症例 -
竹谷 真悠谷口 博志菅原 正秋
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2023 年 48 巻 2 号 p. 127-132

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抄録
【目的】頸椎後縦靱帯骨化症(以下、頸椎 OPLL)に対する手術を受け、その 3 年後に術後合併症として診断を受けた両上肢のしびれに対して鍼灸治療を行っていき、病態把握の再検討により治療法を変更したことで一定の効果を示すことができた症例を経験したので報告する。
【症例】77 歳、男性。主訴:両上肢のしびれ。現病歴:X - 7 年に頸椎 OPLL に対する前方徐圧固定術を受けた。術後 2 ~ 3 年後、右手にしびれを自覚、その後すぐに左手にも出現した。鍼灸治療を受け、直後は軽減するも、効果は持続しなかった。X 年 8 月、当センターに来院した。主に手掌第 2 - 5 指のしびれがあり、日常生活動作ではボタンがかけづらい、おはじきが掴みづらいと訴えていた。上肢の神経学的所見はすべて正常であった。
【経過】初診時より、頸部の血流改善を目的とした頸肩部への置鍼と上肢の血流改善を目的とした施灸を行ったが、直後効果のみの結果であった。第 5 診目には「左の親指が痩せているのが気になる」 と訴えがあり確認したところ、左母指球筋の萎縮が認められ、手根管部のチネル徴候が陽性だったため、正中神経への鍼通電に切り替えた。以降、しびれの持続的な改善を認めるようになった。 なお、「第 9 診目に右の第 4・5 指にしびれを強く自覚している」との訴えより尺骨神経への鍼通電を追加したところ、治療間隔が不定期にも関わらず、効果の持続を示すようになった。
【考察】第 5 診目以降、患者の訴えを中心に病態を捉え直し(正中神経障害)、それに準じて治療を行なったところ、有効性を示すことができた。鍼灸治療を行う上で、定期的かつ継続的に病態 把握を行うことの重要性を実感できる症例であった。
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© 2023 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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