日本ペインクリニック学会誌
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原著
三叉神経領域の帯状疱疹痛に対する卵円孔部での下顎神経ブロック
延原 弘明足立 泰
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2009 年 16 巻 1 号 p. 14-18

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抄録
われわれは三叉神経領域の激しい帯状疱疹痛に対して卵円孔部で局所麻酔薬とステロイドの併用で下顎神経ブロックを行った9症例(下顎神経ブロック群)と下顎神経ブロックを施行しなかった9症例(対照群)を比較検討した.下顎神経ブロックには1%リドカイン0.5 mlとデキサメタゾン2 mgを用いた.年齢,性別,発症から当科初診までの日数,初診時の疼痛,神経ブロック終了時の疼痛は両群で有意の違いはなかった.しかし,治療後に疼痛が視覚評価スケール(VAS)で20に低下した日数(中央値,以下同)は,対照群では88日であったのに対し,下顎神経ブロック群では14日と有意に(P=0.008)短期間であった.疼痛がVASで20に低下するまでに行った従来の神経ブロックは,対照群では23回であったのに対し,下顎神経ブロック群では8回と有意に(P=0.017)少ない回数であった.最終的な治療日数は,対照群では365日であったのに対し,下顎神経ブロック群では66日と有意に(P=0.015)短期間であった.三叉神経領域の激しい帯状疱疹痛に対する卵円孔部での局所麻酔薬とステロイドを併用した下顎神経ブロックは,疼痛を短期間で軽減させ,神経ブロックの回数を少なくし,治療日数を短縮させるので有用であると思われる.
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© 2009 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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