日本ペインクリニック学会誌
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症例
頸部硬膜外ブロックおよび皮下ポートを用いた持続腕神経叢ブロックで腕神経叢浸潤によるがん性疼痛を治療した1症例
片川 智子大条 紘樹篠村 徹太郎
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2009 年 16 巻 4 号 p. 487-490

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抄録
内服,経皮オピオイドで疼痛が軽減しなかった肺癌の腕神経叢浸潤による上肢痛を局所麻酔薬とオピオイドの頸部硬膜外投与と腕神経叢ブロックで治療したので報告する.50代の男性で,肺尖部の肺癌で上肢に激しい痛みが発現していた.オピオイドの服用あるいはフェンタニルの貼付薬で疼痛の軽減は不十分であった.第6/7頸椎間より硬膜外カテーテルを挿入し,0.2 %ロピバカインおよびモルヒネを持続投与し,疼痛は軽減した.カテーテル挿入1カ月後に,C5/6より硬膜外腔を目標としてカテーテルを挿入し,皮下ポートを左前胸部乳房下に埋め込み,薬液を注入した.除痛効果は初回のカテーテル挿入中とほぼ同じであった.後日撮影したCTで,カテーテルの先端は腕神経叢に留置されていた.皮下ポートの埋め込み4週間後に死亡したが,疼痛の軽減は持続していた.
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© 2009 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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