日本ペインクリニック学会誌
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症例
脊髄電気刺激療法による神経障害痛に併発した睡眠障害の改善を客観的に評価した2症例
大淵 麻衣子住谷 昌彦平井 絢子佐藤 可奈子冨岡 俊也小川 真辛 正廣関山 裕詩山田 芳嗣
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2011 年 18 巻 2 号 p. 44-47

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抄録
慢性痛の重大な併発症として睡眠障害が挙げられるが,睡眠障害は患者の自覚的な訴えやアンケート調査によってしか評価されていない.睡眠・覚醒リズムを判定することができる腕時計型高感度加速度センサー(actigraphy®)を用いて慢性痛患者の睡眠障害を脊髄電気刺激療法の前後で客観的に評価した2症例を報告する.症例1は腕神経叢引き抜き損傷後痛み,症例2は閉塞性動脈性硬化症による足趾切断術後の難治性の痛みであった.いずれも薬物療法抵抗性の痛みであり,深刻な睡眠障害を併発していたことを客観的に評価できた.両症例とも脊髄刺激療法の導入によって睡眠効率(就床から起床までの時間に対する実睡眠時間の割合)が改善した.難治性痛みの治療は痛みだけでなく quality of life(QOL)の改善が重要であるが,睡眠障害の客観的評価は新たな評価基準に成りうる可能性がある.
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© 2011 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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