日本ペインクリニック学会誌
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総説
椎間板ヘルニアの痛みの発現における自己免疫反応
村井 邦彦酒井 大輔中村 嘉彦中井 知子鈴木 英雄五十嵐 孝竹内 護村上 孝持田 讓治
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2012 年 19 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
椎間板ヘルニアに伴う神経痛の病態には,神経根の炎症機序が関与している.その一因に,椎間板髄核が自己の組織として認識されない隔絶抗原であるので,髄核の脱出に伴い自己免疫性炎症が惹起されることが考えられる.一部の髄核細胞の細胞表面には,眼房細胞などの隔絶抗原にみられる膜タンパクFasリガンドが存在し,Fas陽性の免疫細胞のアポトーシスが惹起され,自己免疫反応は抑制されるが,二次的に好中球の浸潤が惹起され,炎症を来す可能性がある.近年,われわれはマクロファージやナチュラルキラー細胞などの細胞免疫反応が,椎間板ヘルニアに伴う痛みの発現に関与することを示した.Fasリガンドや,細胞免疫の初期に発現するToll 様受容体に着目すれば,坐骨神経痛の新たな治療法が開発できる可能性がある.
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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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