抄録
本研究では登園場面で長い間不安を示した幼稚園3 歳児学年の新入園児ゆうたに焦点を当て,ゆうたの葛藤に寄り添う幼稚園教師の行動とその働きを検討した。ゆうた1 名と教師1 名を対象に登園場面における両者のやりとりの観察記録と,教師へのインタビュー記録を収集し分析した。その結果,教師はゆうたの行動の変化に応じて「明るく話しかける」「ふざける」「遠くから見守る」といった行動を取っていた。これらの行動にはゆうたの情動に周辺的に関わりながら,自ら情動を調整する機会を提供することで,ゆうたの自律的な情動の調整を促す働きがあったと推測された。その前提には,教師による幼児理解と幼児と教師の関係についての理解があったと推測された。