日本ペインクリニック学会誌
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総説
超音波ガイド下腕神経叢ブロックをより安全に行うために必要な血管走行についての知識
村田 寛明大神 敬子佐伯 和信弦本 敏行原 哲也
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電子付録

2014 年 21 巻 4 号 p. 489-498

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抄録

超音波ガイド下神経ブロックは,神経とその周辺組織,ブロック針や注入する薬液などをリアルタイムに描出できる安全かつ確実な手技として普及しつつある.超音波ガイド下腕神経叢ブロック斜角筋間アプローチや鎖骨上アプローチでブロック針の刺入経路となる,後頸三角と呼ばれる部位には多くの血管が存在し,かつそれらの走行は多様性に富むことが知られている.鎖骨下動脈は,超音波ガイド下神経ブロック鎖骨上アプローチの重要なランドマークである.一方,鎖骨下動脈からの分枝にはランドマークとはならないが腕神経叢の近傍を走行する頸横動脈や肩甲上動脈,肩甲背動脈などがあり,ブロック針刺入の障害となりうる.本稿ではこれらの動脈に関する解剖学的知識を超音波ガイド下腕神経叢ブロックとの関連をふまえつつ解説する.後頸三角において超音波ガイド下腕神経叢ブロックをより安全に行うためには,症例ごとにカラードップラーを用いたプレスキャンを行い,腕神経叢周囲やブロック針の刺入経路に存在する血管を慎重に確認し,血管穿刺を避けつつ目的のブロックを安全かつ確実に行える超音波画像を描出することが重要である.

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© 2014 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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