日本ペインクリニック学会誌
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症例
帯状疱疹亜急性期の電撃様痛発作にバルプロ酸が奏効した造血幹細胞移植術後の3症例
久米 克介眞鍋 治彦武藤 官大武藤 佑理眞鍋 祐美子
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2015 年 22 巻 2 号 p. 101-104

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抄録

悪性リンパ腫および骨髄異形成症治療のため造血幹細胞移植を受けた後に帯状疱疹(herpes zoster:HZ)を発症,その治療中に耐え難い電撃様痛発作を繰り返し,バルプロ酸で痛みが消失した3症例を経験した.症例1は,60歳,男性.悪性リンパ腫に対して臍帯血移植を受けた4カ月後に三叉神経第1枝のHZを発症,15日目より耐え難い電撃様痛発作を繰り返したためノルトリプチリン,ガバペンチンに加えてバルプロ酸(800 mg/日)を投与した.次第に電撃様痛は軽減,25日目には消失した.症例2は,50歳,女性.悪性リンパ腫に対して末梢血幹細胞移植を受けた7カ月後に胸神経領域のHZを発症し,54日目より不眠をきたす電撃様痛が出現した.ノルトリプチリン,プレガバリン投与後も続いたが,バルプロ酸(600 mg/日)の投与により64日目には消失した.症例3は,63歳,男性.骨髄異形成症に対して末梢血幹細胞移植を35カ月前に,また臍帯血移植を10カ月前に受け,頸神経領域のHZ発症を発症した.発症後20日目に電撃様痛発作を生じるようになったが,バルプロ酸400 mg/日投与で次第に消失した.

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© 2015 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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