2019 年 26 巻 1 号 p. 53-57
三叉神経痛は,食事や洗顔などの日常生活動作での刺激により耐え難い痛みを生じる疾患である.三叉神経痛の第一選択薬として用いられるカルバマゼピンは,有効率が高いものの副作用であるふらつきや眠気によるactivities of daily living(ADL)の低下が懸念されることがある.今回われわれは,三叉神経痛を訴える患者のうち頭皮鍼治療を,単独あるいは薬物療法と併用で行った7名において,治療効果を検討したところ全員に症状の改善がみられ,有効であった.頭皮鍼治療はペンフィールドの地図の体性感覚野に対応する箇所の頭皮に鍼を刺入し,150 Hzで20分間の電気刺激を外来にて行った.頭皮鍼治療は抗がん剤による手足のしびれに対しても有効であるが,頭皮からの刺激が脳幹網様体になんらかの影響をもたらすと考えられる.