2019 年 26 巻 1 号 p. 36-39
複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)はアロディニアを伴うことが多い.アロディニアは慢性痛患者の生活の質を損ねるだけでなく,治療に難渋することも多い.抑肝散は動物実験において抗アロディニア作用を有することが示されている.今回,抑肝散の内服継続が困難なCRPS症例に対して七物降下湯を投与したところ,抑肝散と同様の抗アロディニア作用が得られた.七物降下湯は,抑肝散の抗アロディニア作用の中心的生薬と考えられる釣藤鈎を含んでおり,抑肝散と同様の抗アロディニア作用を有する可能性がある.